治験のツワモノたち

前回では治験に休薬期間があるということを話した。

治験者は連続して治験を受けることができないということである。

しかし中にはそんな制約をかい潜って治験を受け続ける人たちがいるのである。

彼らは治験を受け続けることで大金を稼ぎだしているのである。

 

 

 

 

治験を行っている病院は全国にたくさんある。

病院はそれぞれ臨床試験受託事業協会に加盟しているのである。

この協会はつまりは治験者と病院との取り決めが制約どおりに行われているかどうかを監視している機関である。

治験者の記録はこの協会に集められているのである。

そして治験者の健康状態や重複登録の有無などが調べられているのである。

 

 

 

 

しかし治験のツワモノたちは協会のやり方に屈しない。

病院の中には協会に加盟していないところもあるのだ。

そして彼らはわざわざ非加盟の病院を選んで治験を受けているのである。

僕は実際に彼らと話をしたことがある。

話を聞くと、彼らは協会に加盟している病院で治験を受けつつ、休薬期間中には別の非加盟の病院で治験を受けているようだった。

 

 

 

 

そういった話は治験者同士の会話で情報を手にすることができる。

彼らは採血の時の注射針の痕を気にしながら嬉々として語ってくれる。

彼らの話を聞くのは面白い。

聞いていると自分まで治験のベテランになったような気がする。

なんだか刑務所の服役囚同士が口利きになるみたいな話だ。