過ち
他人の気持ちを考えたことがない。
考えたことがないから人の気持ちがわからない。
人の気持ちがわからないから自分の気持ちまでわからなくなってしまう。
そもそもわかる必要のないものだと思っていた。
それが、いつの間にか人の気持ちを知りたいと思うようになった。
心境の変化である。
年齢を重ねるにつれて人とかかわることが少なくなっていく。
もしかしたら年齢なんて関係ないのかもしれない。
人柄、性根、人格も関係ないのかもしれない。
この年になって急に自分の過去を顧みることが多くなった。
一人でいるとどうしても考えざる負えなくなってしまう。
過去の記憶が呼び起され、自分が犯した過ちを否が応でも思い出すことになる。
ふと何の拍子もなく思い出してしまうのである。
過去の嫌な思い出や自分が犯した過ちが中心である。
もともと割合的にそうなのかもしれないし印象として強烈に残っているのが悪い思い出ということなのかもしれない。
それらの過去が自分を責めさいなむ。
ふと思うのはこのままでいいのかという気持ちである。
このまま嫌な過去にさいなまれる人生でいいのだろうか。
人の気持ちなんて捉え方次第で何とでもなると思ってきた自分の浅はかな心構えが今になってグラグラと音を立てて崩れ始めたのである。