文学と小説
文学ってそもそも何だろう?
例えば実用書は実用の解説書である。
歴史書は歴史の変遷が描かれている。
料理本も情報誌も評論も全ては読者の求めるもののために書かれたものだ。
効率的に学び人生の限りある時間の中で少しでも読者に役立てるものである。
理解を深めるためのものである。
では文学書、小説の類はなぜあるのだろうか?
小説は作り話である。
小説家と呼ばれる人たちによって作られた書籍である。
そして本屋の中でだいたい8分の1から4分の1くらいの割合を占めている。
内容は私小説のように自分自身の人生を型にしたものもあれば娯楽作品のように全く架空の物語もある。
たまに時代と呼応するかのようにベストセラーが出て社会的現象にもなったりする。
あらためて小説とは一体なんだろうか?
物語であることはわかっている。
物語によってその人の心の模様を読み取ることができる。
けれども物語は小説以外にもある。
自伝や歴史書やノンフィクションなどなど、それらも物語である。
例え限りなくノンフィクションとして書かれたものも文章になる過程の中でどうしてもその人の想像が作用してしまうのではないだろうか?
あらためて物語について考えてみたい。
例えば小説ではダメ人間が描かれるということが多い。
彼らのダメっぷりを見て反面教師として、もしくは共感材料として楽しむのである。
もしくは散文詩として描かれたものもある。
物語というより文章の構造に凝ったものである。
詩や俳句の延長みたいなものだろうか。
物語の中でというよりも小説そのものの枠組みを捉えなおすような作品である。