事件の優劣
「スッキリ!!」という番組で宇野常寛がKY発言をして顰蹙を買うという内容のネットニュースがあった。
内容を見てみると安保強行採決の次の日の放送でのことだ。
番組のメインのニュースでその件が扱われずに別の事件(犬がブリーダーを襲ったという事件)が選ばれた。
それに対して宇野が憤りを感じて「なぜ(安保強行採決のことを扱わないで)この事件を取り上げたのか疑問を感じる。」という発言をした。
そのことに対して周囲から顰蹙を買ってしまったという内容だった。
記事の内容は偏見に満ちた書き方だった。
いかにも宇野に対して悪印象を持たせようとしているように見えた。
記事というよりは炎上事件を取り扱ったネットの揶揄にしか見えない。
興味を持ったので実際に動画を見てみた。
動画の中で宇野は「天下国家について語れば偉いというわけではないが」と前置きしてから先ほどの発言をしたのである。
その上で安保法案強行採決の件と犬がブリーダーを襲ってしまった事件のどちらがその日のニュースのメインに持ってくるべきだったのかについて考えてしまう。
確かに宇野の言うとおり安保の件が扱われる方が話題性がある。
どちらかというと番組自体への非難を恐れて別の件を扱ったかのように見えてしまう。
メディア操作のように見えてしまう。
けれどもさらに考えてしまうのである。
NHKが国会中継を放送しなくてもネットを通じてあっという間に隠していることが明らかにされてしまった。
今回の件も宇野が憤るところの制作会社の隠ぺいに見えてしまう。
けれども、である。
その上で果たして事件に優先的に放送するべき話題性や優劣はあるのだろうかということを考えてしまうのである。
このことを考えるとISILによる日本人人質殺害事件を思い出してしまう。
後藤健二が取り沙汰される中で湯川遥菜に関して触れられることはなかった。
報道する側からしたら話題性のある方を選んだに過ぎないのかもしれない。
後藤の方がドラマティックに演出できるからという理由で選ばれたということなのだろう。
その上でメディアが考える事件の優劣は視聴者にとっての優劣ではないと思ってしまうのである。